物語で最初に作るもの

ということで始まりました、記念すべき第1回目です。よろしくお願いします。

早速本題ですが、いざ物語を書こうと思って、最初にぶち当たるのが、
「どんな風に作品を作ろう?」というものだと考えられます。

「こんな物語が書きたい!!」

ビジョンはあるけれど、どう作っていいか分からない。
私も含め、すでに物語を書いてグダっちゃってる人も、
これを読んだら何かヒントが得られるかもしれません。


まず考えたいのは「作者=その世界の神様」ということです。
つまり、その神様次第で、矛盾点だらけの世界や、リアルな世界を作ることができます。

ところで、ミニチュア模型やジオラマを見たことがありますか?
ガン●ラや戦車、自動車、鉄道、天体いろいろあります。
共通しているのは、限られたスペースやサイズで、リアルな世界を表現していることです。
こんな感じのリアルな世界を書けたらいいのになぁ、とは思いませんか?
(現実にガン●ムetcが存在するかどうかは別にして)



最初にやること:世界を作る


リアルな世界を作るなら、キャラクターが住む生活環境を考えなければなりません。
現代世界そっくりな世界観でいくのか、
中世のヨーロッパみたいな世界観でいくのか、
はたまたタコ型宇宙人がテレパシーで会話するような異星の世界観でいくのか――――

キャラクターの相関図なんかを書くより、真っ先に世界の制作です。
最初に書きたい気持ちをグッとこらえて下準備をするかしないかで、小説の書きやすさは大きく変わってきます。


「え~、そんなの後回しでいいじゃん!」


私も最初はそう思っていました。
私が調子に乗って、キャラクターを中心にして玉ねぎ状に内側から外へと想像をふくらませて書いた作品は、見事なまでに崩壊しました。
崩壊した原因はいろいろありますが、世界観系の原因としては私が付け足した設定に矛盾が生じて、作者である私自身が処理しきれなくなってしまったのです。
もちろん、私の筆力がショボいこと、頭が弱いことも理由の一つでした。


皆さんがよく見る例で説明しましょう。小説家になろうでは人気の「異世界モノ」です。
何でも自由に設定できる(自由度が高い)反面、その設定でつじつまを合わせるのが難しいという欠点があります。


例えば魔物。
街から一歩外へ出れば魔物がウジャウジャいるような世界と設定したとします。
もし、キャラクター中心に世界を立ち上げてしまったらどうなるでしょうか。
ちょっとしたあらすじを書いてシミュレートしてみました。



主人公は仲間を連れてギルドへ行き、今日も依頼を受けて魔物を倒します。
今回魔物の討伐を依頼された場所は遠く、苦労して依頼達成し、戻ってくる頃には深夜になってしまいました。
街へ帰れば家々の灯りはとうに消え、ギルドの建物の灯りだけが主人公たちの帰りを待っているようでした。



一見するとなんともなく思えます。
しかし、今言ったことを考えると、深夜簡単に人が入れる程度の警備で大丈夫なのでしょうか。
昼行性の魔物もいれば、夜行性の魔物だっているでしょう。
人間はバカじゃありませんから、苦労して創り上げた街に魔物が入ってこないよう、結界を貼るなり、物理的な防御壁を作るなりするはずです。
また、そういうものを作れば門番であったり、結界の管理人がいてもおかしくはありません。
街の門が閉鎖されていて、魔物にいつ襲われるかもしれない恐怖の中、キャラクターが交代で見張りしながら眠りについたり、そこに門番がいれば、会話を交わして必死に説得して入れてもらうようにお願いしたりといった描写があったほうが、リアルで生きてる感じがしませんか?
今回の場合は極端ですが、キャラクター中心の考え方だと、このように作者が本筋とは全く関係のない、防御壁や結界といったことを思いつくかどうか分かりません。

「物語の進行に必要になったから設定を付け加える」方式で世界を組み立てていくと、矛盾が生じてしまいやすいものです。


最初のうちにしっかりと世界観を作っておけば、破綻しにくくなるのではないかと思います。
近未来でも現代でも異世界でも、そこに必ずあるのは社会です。
独身の者や既婚者、子供から老人までいろんな人がいます。
物語に土台がなければ、その上に家を建てることも、キャラクターが住むこともできません。
どのようにしてうまく社会を回していけるか、あなたの創造力が試されるところだと思います。
その世界に住む典型的な一家を想像してみると、より詳しく書けそうです。
父親の職業、母親の1日、子供の立場などなど……

もちろん、小さな村でのお話であれば、作る世界は村スケールの大きさで構いません。
わざわざ村一つのために、物語に関係ない街や国家の関係図を壮大なスケールで作り上げる必要はありません。
要は、キャラクターを取り巻く環境をしっかりと整えてあげるのです。
思いつきで別の村へ移動させたいなどと考えたときは、
できるだけその世界観を壊さないように注意して、世界を拡張していきます。
小説はそういう意味で、ミニチュア模型に似ているところがあると思います。

意図してそういう設定にしているなら別ですが、
くれぐれも、魔法と家畜に頼って生活している村の隣では、
コンバインに乗ったおじいちゃんがエンジン唸らせながら稲刈り&脱穀やってる、なんて事にならないように気をつけましょう(笑)

もしかしたら、設定次第ではその世界観がキャラクターたちの前に壁となって立ちはだかるかもしれません。
そんな逆境で、キャラクターたちはどう切り抜けていくのか、それもひとつの醍醐味だと思います。



****ヒント****
森林が多い風土なら、必然的に建物はそこらに生えている木を切り倒して作られるでしょうし、
岩が多ければ石が利用され、粘土や泥が多い場所ならレンガが使われるでしょう。
また人間を含め、動物が住むためには水が必要です。
すると、都市や集落は川や地下水が流れている近くにできやすいです。

王都や首都は敵国に攻められにくい場所に作ることが多いでしょう。
三方を険しい山で囲まれた場所とか、渡るのに時間がかかりそうな大きな川に面しているとか。

意外と忘れられやすいのが天気ですね。
ほとんど雨が降らなければ、世界はアフリカのサバンナのような状態になるのは確実です。
暗雲や雨は、陰鬱なイメージを利用して、
物語が悪い方向へ進んでいくことの暗示などとして用いるといいと思います。
映画やドラマでもよく多用される表現ですね。

“雷鳴轟く激しい雨の中、主人公のもとにある知らせが飛び込んできた。”

ヤな予感しかしないでしょう?

その気になれば検索一つでいろんなことについて調べることができますから、
自分が作りたい世界についての分からないところは、どんどん調べていくべきです。
********



逆に、世界観を作りやすいのは、私達が住んでいる世界そのものを基本として世界を描くことです。
警察組織、国家、医療機関、軍隊もあります。公園もあれば人工衛星も水道屋もあります。
読者からすれば、現代は見慣れた世界ですから、想像がしやすく、つじつま合わせに苦労することは少ないでしょう。ただし、世界設定の自由度はその分落ちます。
もちろん、現代をモチーフにした作品は自由度が落ちる、だからつまらない、ということではありません。
面白く仕上がるかはあなた次第です。

描いた世界観は、自分なりに紙に書いたりテキスト保存したりして分かりやすくまとめておくと、
「あれ、これこの設定でよかったかな?」という時に役立ちます。
自分が見る用の世界地図やデザイン画を描いてみるのもいいと思います。

私は小説向けにちょくちょく挿絵を描きますが(爆弾な絵です 決して上手くありません)、
その時「ここはどんなイメージだったかな?」と手を止めることがあります。
そこが、脳内だけではイメージできていなかった「死角」でした。
イラストを載せる必要はありません。
自分で脳内のイメージを実際に描いてみて、色付けしてみてください。
他人が分かる必要はありません自分が分かればいいんです。
そうやって一つ、自分の中のイメージを具体化することで、
より現実味のある世界が書けるようになるでしょう。

*まとめ*
書く前に、主人公を取り巻く世界観を作ってみる
世界観は適度な範囲で詳しめに練る
デザイン画を描いてみる
そうすることでその世界がちょっとリアルになる
(もちろん文字で描写しないと読者には伝わりませんよ^^;)

 

幻想神域 RMT

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FF14 rmt

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ラグナロク RMT

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嘘つきの告白

1回目は普通だった気がする

「君が好きです。付き合って下さい」
だが断る

 小学生のころから付き合いのある男友達は
『ただの男友達』としか見れなくて
 私はあっさりと断った


 けれどここからが 本番だった


 顔を合わせるたびに言われる言葉

「君が好き」

 何回言ったら気が済むの?
 何回断られても諦めないんだね
 ある意味ストーカー行為じゃないか?

 まあいいや そのうちこいつも諦めるだろう


 そう思っていた時期が私にもあったのです



 10回目

「君はどんな人が好き? 俺は君が好き」
「あんたとは正反対のタイプがいいわ」



 20回目

「君の好きな曲は何? 俺は君と同じ曲が好きだよ」
「失恋ソングが大好きだね」



 30回目

「おはよう今日もやっぱり可愛い君が好きです」
「おはよう今日もやっぱりしつこいね君は」



 40回目

「これで40回目ですが やっぱり未だに君が好き」
「数えてたのかよ律儀なやつめ だが断る




 しつこくないか? しつこくないか?
 いい加減にしつこくないか?
 あんたが一途だってことは十分に分かったよ
 もうこうなったら いつまで言われ続けるのか数えてやろう




 50回目

「今日もいい天気だね好きです」



 60回目

「大丈夫? だけど風邪をひいてる君も好きです」



 70回目

「ドラマの再放送を思わず見逃しちゃうくらいに君が好き」



 80回目

「コーンポタージュの上に浮かんでるパセリみたいな君が好き」




 だんだん意味不明になってきてるぞ大丈夫か
 そう言ったら あんたは笑ってこう言った

「意味不明になっちゃうくらいに君が好きです」

 いやいやそのセリフも意味不明だから




 それはクリスマス
 たまたま出会った彼と私
 イルミネーションみたいに目を輝かせた彼は
 99回目の言葉それを言う

「君が好き」

 これが「好き納め」だよだなんて やっぱり意味不明なことを口走り
 君は走っていったんだ




 その2日後に 君が死んでしまうなんて 知らなかったよ




 交通事故 頭を打って即死だった
「即死だったのがせめてもの救い」だなんてやめてよ
 なんの慰めにもならないから



 最後に会ったクリスマス 走る彼の後ろ姿
 そのとき思った言葉を ちゃんと伝えておけばよかった





 現実感のない元日
 私宛に届いた年賀状

 下手くそなイラストで けれど手書き

 彼からの年賀状ものが 入ってた



 下手くそなイラストの下に 下手くそな彼の文字



『あけましておめでとう

 今年もやっぱり君が好き

 これで100回目です!!
 101回目は、次に会ったときに言うからね』





「――……嘘つき」


 101回目なんて ないくせに






 私が君と同じ言葉を100回繰り返したって
 君にはもう届かないんだろう

 それでも私は言うんだろうな これからもずっと



「私も君の事が 好きでした」

 

ArcheAge RMT
ブレイドアンドソウル RMT

嘘つきの告白

1回目は普通だった気がする

「君が好きです。付き合って下さい」
だが断る

 小学生のころから付き合いのある男友達は
『ただの男友達』としか見れなくて
 私はあっさりと断った


 けれどここからが 本番だった


 顔を合わせるたびに言われる言葉

「君が好き」

 何回言ったら気が済むの?
 何回断られても諦めないんだね
 ある意味ストーカー行為じゃないか?

 まあいいや そのうちこいつも諦めるだろう


 そう思っていた時期が私にもあったのです



 10回目

「君はどんな人が好き? 俺は君が好き」
「あんたとは正反対のタイプがいいわ」



 20回目

「君の好きな曲は何? 俺は君と同じ曲が好きだよ」
「失恋ソングが大好きだね」



 30回目

「おはよう今日もやっぱり可愛い君が好きです」
「おはよう今日もやっぱりしつこいね君は」



 40回目

「これで40回目ですが やっぱり未だに君が好き」
「数えてたのかよ律儀なやつめ だが断る




 しつこくないか? しつこくないか?
 いい加減にしつこくないか?
 あんたが一途だってことは十分に分かったよ
 もうこうなったら いつまで言われ続けるのか数えてやろう




 50回目

「今日もいい天気だね好きです」



 60回目

「大丈夫? だけど風邪をひいてる君も好きです」



 70回目

「ドラマの再放送を思わず見逃しちゃうくらいに君が好き」



 80回目

「コーンポタージュの上に浮かんでるパセリみたいな君が好き」




 だんだん意味不明になってきてるぞ大丈夫か
 そう言ったら あんたは笑ってこう言った

「意味不明になっちゃうくらいに君が好きです」

 いやいやそのセリフも意味不明だから




 それはクリスマス
 たまたま出会った彼と私
 イルミネーションみたいに目を輝かせた彼は
 99回目の言葉それを言う

「君が好き」

 これが「好き納め」だよだなんて やっぱり意味不明なことを口走り
 君は走っていったんだ




 その2日後に 君が死んでしまうなんて 知らなかったよ




 交通事故 頭を打って即死だった
「即死だったのがせめてもの救い」だなんてやめてよ
 なんの慰めにもならないから



 最後に会ったクリスマス 走る彼の後ろ姿
 そのとき思った言葉を ちゃんと伝えておけばよかった





 現実感のない元日
 私宛に届いた年賀状

 下手くそなイラストで けれど手書き

 彼からの年賀状ものが 入ってた



 下手くそなイラストの下に 下手くそな彼の文字



『あけましておめでとう

 今年もやっぱり君が好き

 これで100回目です!!
 101回目は、次に会ったときに言うからね』





「――……嘘つき」


 101回目なんて ないくせに






 私が君と同じ言葉を100回繰り返したって
 君にはもう届かないんだろう

 それでも私は言うんだろうな これからもずっと



「私も君の事が 好きでした」

 

信長の野望 rmt

PSO2 rmt

FF14 rmt

『本日の死亡確率です』

 あなたは、自分の『死亡確率』を御存知だろうか。
 あるいは自分の些細な行動によって、他の誰かが死んでいるかもしれないと意識したことがあるだろうか。


 中学一年の朝、俺はテレビを見ながら学校へ行く準備をしていた。窓の向こうに見える空はどんよりとした鉛色で、今にも雨が降りそうだ。ただ、昨夜見たニュースでは、今日の天気は曇りのち晴れだと言っていた。降らないかもしれないが、降ったら相当寒くなるだろうなと思う。最近、本格的に寒くなったせいか、風邪をひいている同級生も多い。
 俺が見ている番組では、七時五十分から天気予報が始まる。俺は毎日それを観て、その後に続く占いコーナーを何の気なしに観てから、八時ちょうどに家を出ていた。その日も勿論そのつもりで、更に言うと傘が必要かどうかをチェックしたくて、天気予報のコーナーを待っていた。

「それでは、お天気のコーナーです」

 ――始まった。俺がテレビに集中しようとした、その時だった。

『本日の死亡確率です』

 テレビの声に重なって、聞き覚えのない女の声が降ってきた。

「え?」

 思わずテレビ画面から目をそらし、あたりを見渡した。が、リビングには俺以外誰もいなかったし、テレビの方は問題なく天気予報を続けていた。……午前中は小雨が降るが、午後からは晴れるでしょう。

『あなたがいつも通りの時刻に家を出れば、本日のあなたの死亡確率は1%です。
 ただしその場合、他の人間が100%死ぬでしょう。
 いつも通りの時刻に家を出なければ、あなたの死亡確率は90%にまで跳ねあがります。ご注意ください』

 天気予報と同時に聞こえなくなった声に、俺は首をかしげた。時刻はちょうど七時五十五分。いつもはこの五分後に家を出るが、今日に限って出発準備が整っていた。

『――いつも通りの時刻に家を出なければ、あなたの死亡確率は90%にまで跳ねあがります。ご注意ください』

 テレビの天気予報と同時に、ぷつりと途切れる声。何も知らないテレビは番組を続ける。――それでは、本日の占いです。

「…………」

 なんの気なしに見ていた占いを少し注意深く見てから、俺はいつも通りの時刻に家を出た。


 近所のおじさんが事故で亡くなったと知ったのは、それから数時間後。亡くなった場所は、俺も使っている通学路。居眠り運転をしていた対向車に撥ねられ、即死だった。
 ――もしかしたら、俺が事故に遭っていた可能性もある。いや、

「……嘘だろ」

 俺は耳をふさぐ。あの時、誰かが言ったんだ。

『あなたがいつも通りの時刻に家を出れば、本日のあなたの死亡確率は1%です。
 ただしその場合、他の人間が100%死ぬでしょう』

 そしてあの時、俺が、選んだ。



「――それで?」

 俺の話を静かに聴いていた彼女が、続きを促した。濡れた植物と、水を吸い込んだ土のにおいが、辺りを覆っている。大学の食堂にあるテラスは、こういう雨の日には誰もいない。だからこそ、内緒の話をする時にはうってつけだった。
 俺は小雨が屋根を叩く音を聞きながら、ゆっくりと息を吐き出す。

「……こんな話、信じるのか? 大学生にもなって」
「じゃあ、嘘なの?」

 すっかり冷めたホットコーヒーをすすりながら、彼女は首をかしげた。俺はすぐさま否定する。

「嘘じゃない。そういう意味じゃない。……けど知ってるだろ、俺は精神科に通ってる。今のは全部、ただの妄想かもしれないじゃないか」
「精神科に通ってる人は、妄想ばっかり話すの?」
「ちがっ……いや、分からない」
「じゃあ、私にも分からない。でもあなたが本当の話だというのなら、私はそれを信じる」

 コーヒーの入っていた紙コップをぺこりと凹ませると、彼女は微笑んだ。そして続けた。

「それに、そのおじさんが亡くなったのは、あなたのせいじゃない」
「けど、」
「そうやって自分を責めないで。何度でも言うよ、あなたのせいじゃない。だってそれは」
「違うんだ!」

 思わず声を荒げると、彼女はきょとんとしたような、それでいてどこか寂しそうな顔をした。その顔を直視できなくて、俺は俯く。雨にあたる植物が、身体を震わせてこちらを見ている。まるで、俺を嘲るかのように。

「誰かが俺の死亡確率を言ってきて、俺はそれを回避し続けて。……何度かそういうことが続いて、だから俺は、その予報が『本物』だと知っていたんだ。なのに俺は」

 彼女は待っている。俺の言葉を。彼女は、嗤わない。

「俺は、家族も殺したんだ」 



『本日の死亡確率です』

 中学三年の秋。部室へと向けて歩いていた俺に、突如それは訪れた。俺は足を止めて、目を見開く。女の声は淡々とした口調でそれを続けた。


『あなたの家が、間もなく火事になるでしょう。
 あなたの家族の死亡確率は、100%です。

 あなたが今すぐ帰宅した場合、10%の確率で家族は助かります。
 ただし90%の確率で、あなたも一緒に死ぬ事になるでしょう。

 あなたがこのまま部活に参加した場合、家族の死亡確率は100%、あなたの死亡確率は2%です。

 どちらを選ぶかは、あなた次第です。家に戻る場合は、くれぐれもご注意ください……』



「――10%もあったのに」

 部活の途中で顧問に呼ばれ、大急ぎで家に帰った。本当は全て知っていたくせに。

「なのに俺は、それに賭けなかった! 自分を守るために家族を捨てたんだよ! 自分だけ助かりたくて、当たらない天気予報みたいにその『予報』を無視した! その予報は絶対だって、本当は知ってたくせに!!」

 手術室から無念の表情で出てきた医師に、家族は助からないのかと縋りついた。――助からないと、知っていたくせに。

「家に帰ればよかったんだ! 死んでしまってもいいから、10%に賭けるべきだった! いや、いっそのこと一緒に死んでしまえば」
「そうしてたら!」

 俺の言葉を遮って、彼女が叫んだ。痛々しいくらいにひび割れた、泣き叫ぶよな声で。彼女の両の手の中で紙コップはぐちゃぐちゃに潰れ、けれども彼女はそれをとても大切そうに握っていた。

「……そうしてたら、私はあなたと出会えてなかった」 

 それから小さな声で、こんな言い方しかできなくてごめん、と付け加えた。



 彼女の言葉を頭の中で反芻しながら自宅の天井を、そこにあるシミをぼんやりと眺める。引っ越してきた当初は小さかった灰色のシミは、だんだんと大きくなり始めていた。

 ――そうしてたら、私はあなたと出会えてなかった。

 それでも。

「……ごめんな」

 俺のためにそこまで言ってくれる人がいても、その人の言葉よりも予報ばかりを聞いてしまうんだ。

「ごめん」

 1%でも可能性があるのなら……なんてよく言うけれど、『10%の確率で雨が降る』と言われて、傘を持っていける人間はどれくらいいるのだろう。

『本日の死亡確率です』
「うるせえよ」

 もう気付いてるんだよ。

 自ら死ねば、死亡確率も選ぶ必要も何もないんだって。




「……返事こないねー」

 私の携帯を見ながら、友人がため息をついた。私にとって彼女は唯一、小学生の頃から付き合っている人間なので、親友と言ってもいいかもしれない。
 私は送信したまま何の反応もない携帯をつつきながら、首をかしげた。

「んー。まだ寝てるのかなあ」
「ちぇっ。せっかくあんたの彼氏に会ってみたかったのに。彼の家、ここから結構近いんでしょ?」

 友人はぶつぶつと文句を言っていたが、すぐに頭を切り替えたらしく「で、彼氏ってどんな人?」と訊いてきた。私は先ほどと同じように「んー」と間延びした返事をしてから、

「なんて言うか、ちょっと不思議ちゃん?」

 不思議な言葉を返した。

「どういうところが」
「天気予報に敏感なとこ?」
「なにそれどういう趣味」

 けらけらと笑う友人の横を、車が一台通り過ぎた。その車が珍しく感じられるくらい、昼過ぎのこの時間、ここら辺はしんと静まり返る。朝と夕方には学生やサラリーマンが行き交う道でも、昼や夜だと表情が変わるものだ。私は苦笑しながら、友人にどう説明しようかと考えた。

「えっとね。なんか、確率とかそういう言葉が嫌いみたいで」
「数学が嫌いってこと?」
「そうじゃなくて……」


『本日の死亡確率です』


 聞き覚えのない声と同時に、聞き慣れた声の甲高い悲鳴。叫ぶようなブレーキ音と、何かを強く叩いたような鈍い音。急ブレーキをかけたかと思えば、怯えたかのように走り去る車。
 ――私の隣にいたはずなのに、数メートル先に飛ばされ、血まみれになっている友人。
 その中で淡々と話を続ける、女の声。

『あなたの大切なひとが本日、自殺を図りました。
 放置した場合の死亡確率は100%ですが、今すぐ救急車を呼び応急処置を施した場合、死亡確率は10%にまで低減するでしょう。

 また、本日同刻、あなたの大切な友人が事故に遭いました。
 こちらも放置した場合の死亡確率は100%ですが、今すぐ救急車を呼び応急処置を施した場合、死亡確率は10%となります。

 ただ、現在その地区で出動できる救急車は、一台しかありません。
 また、救急車を呼べるのは現在、あなたしかいません。
 どちらに救急車を要請するかは、あなた次第です。

 あなたが彼を選んだ場合は友人の、友人を選んだ場合は彼の死亡が確定します。ご注意ください』


 ――はね飛ばされた瞬間の悲鳴は呻き声になって、私の耳に届く。痛い、痛い、たすけて。死にたくない。


『繰り返します。あなたの彼が、自殺を図りました。同刻、あなたの友人が事故に遭いました。出動できる救急車は現在、一台しかありません。死亡確率は現在、両者とも100%ですが、今後はあなた次第です』

 繰り返される予報と、彼の、言葉。

 ――その予報が『本物』だと俺は知っていたんだ。その予報は絶対だって、本当は知ってたくせに。

「あなたのせいじゃない。あなたの……」
『あなたの判断によって両者、あるいはどちらかが確実に死にます。ご注意ください』


 けれどこれから起こる事は、私の選んだ、――――。

 

リネージュ2 RMT

ラグナロク RMT

アラド戦記 rmt

モンスターたちとパレードを組み冒険に出よう!

ドラゴンクエスト モンスターパレード」は、モンスターを操る選ばれしキャラバンマスターとして、冒険するブラウザゲームだ。

ドラゴンクエストでおなじみのモンスターが多数登場。お気に入りのモンスターでパレードを組み冒険の旅へ繰りだそう。敵を倒すことで、モンスターはレベルアップ、気合伝授で強さを引き継ぐこともできるぞ。

各町に点在する酒場には、さまざまな依頼が舞い込むぞ。困っている人を助けよう。クエストを達成することで、依頼人からアイテムをもらえたり、新たなダンジョンへのルートを見つけることができるぞ。

 

FF11 rmt

ドラクエ10 rmt

リネージュ2 RMT